小さな工務店のひとりごと 暮らしの話3|建築でつくる夏の涼しさ

こんにちは、ミライエ建築工房の得本です。
甲子園での高校球児の熱い戦いも終わり、暦の上では8月も過ぎましたが、まだまだ残暑が厳しいですね。
高校時代は『お盆まで耐えたら涼しくなる!!』なんて言って夏練をみんなで励まし合っていましたが、今は昔の話になってしまいました。

先日ブログで、熱中症について暮らしの視点からお話ししました。
今回はその続きとして、建築的な手法でできる暑さ・熱中症対策をまとめてみました。
エアコンだけに頼らず、家そのものに“涼しさ”を備えておくことで、毎年の夏をより快適に過ごすことができます。

1. 屋根裏や壁の断熱材追加
今でこそ断熱や気密は当たり前のように求められますが、私が建築業界に入った20年前は、まだそこまで重要視されていませんでした。
それ以前に建てられた建物では、「断熱材は入っていれば良い」という程度の考え方も多く、施工も雑な場合が見られます。
そのため、古い住宅では断熱性能が不足しているケースが少なくありません。

例えば延べ床30坪程度の家全体に断熱材を追加する場合、選ぶ材料によって費用は変わります。
▼グラスウール:50万〜80万円程度
最も一般的でコストも抑えやすく、断熱性能も十分。ただし湿気対策は必須。
▼吹き込みセルロースファイバー:70万〜110万円程度
調湿性・防音性に優れ、既存の壁や天井裏にも施工しやすい。
▼発泡ウレタン(吹付け):90万〜140万円程度
高断熱・高気密で隙間なく施工できるがコストは高め。

※断熱材施工の費用のみで、実際には既存部分の解体や下地補修、仕上げ工事なども必ず発生します。
また、建物の状態によっては大規模な工事になることもあります。

▽参考
さまざまな「断熱材」のメリットとは?  引用元:旭ファイバーグラス

2. 庇(ひさし)・オーニングの後付け
庇は、今の住宅では採用例が少なくなりましたが、日差しを遮るうえではとても重要な役割を果たします。
特に夏場の高い日差しを外でカットすることで、室内温度の上昇を大きく抑えることができます。
最近では、必要なときだけ広げられる折り畳み式のオーニングを採用するケースも増えており、
日差しの強い時期と柔らかい日差しの時期とで使い分けが可能です。

▼小窓や腰窓(幅1.5m程度)の場合
固定式庇:3万〜6万円程度
手動式オーニング:5万〜8万円程度
電動式オーニング:12万〜18万円程度

▼掃き出し窓や大型窓(幅2〜3m程度)の場合
固定式庇:5万〜10万円程度
手動式オーニング:8万〜15万円程度
電動式オーニング:18万〜25万円程度
オーニングは季節や天気に応じて使い分けられ、電動式なら操作も簡単です。
▽参考
窓のひさし(庇)を後付けして快適な住まいを実現!  引用元:YKKAP

3. 介護ベッド周りの通風改善(窓サイズ拡大)
介護が必要な方は長時間同じ場所で過ごすため、室内の風通しが悪いと暑さの影響を受けやすくなります。
もちろんエアコンの利用も大切ですが、ベッドとの位置関係によっては冷風が直接体に当たり、体調を崩す原因になることもあります。
既設の窓の性能や位置が良い場合は、自然通風を活かして過ごすのも快適さを保つ方法のひとつです。

既存の腰窓(幅1.5m程度)を大きくして通風を良くする場合は、20万〜35万円程度が目安です。
外壁材や内装材の種類によって費用は変わります。
サイディングやビニールクロス仕上げなら比較的安く収まり、塗り壁やタイル仕上げの場合は費用が上がります。

また、構造上の制約や建築基準法などの法律上の制限によって、希望の大きさまで広げられないケースもあります。
そのため、計画の段階で必ず構造と法的な確認を行うことが大切です。


4. 窓まわりから考える熱中症対策
室内の暑さの大半は窓から入る熱が原因です。
特に夏場は日射熱の侵入を抑えることが、室内環境を快適に保つうえで非常に重要です。
遮熱性能の高いガラスや、すだれ・アウターシェードなどの外付け遮熱を組み合わせることで、効果はさらに高まります。

▼腰窓(幅1.5m程度)
内窓(インナーサッシ)設置:5万〜10万円程度
遮熱Low-Eガラス交換:3万〜6万円程度
外付け遮熱(すだれ:3千〜1万円、アウターシェード:2万〜4万円、庇:3万〜6万円)

▼掃き出し窓(幅2〜3m程度)
内窓(インナーサッシ)設置:9万〜15万円程度
遮熱Low-Eガラス交換:5万〜9万円程度
外付け遮熱(すだれ:5千〜1万5千円、アウターシェード:3万〜6万円、庇:5万〜10万円)
ガラス交換は一度施工すれば長く効果が続き、外付け遮熱は導入コストが低く即効性があります。
▽参考
開口部の断熱性を高めて快適・省エネに
外からの熱の侵入を抑え室内温度の上昇を防ぎましょう  引用元:LIXIL

まとめ
住まいの熱中症対策は、ちょっとした工夫から本格的な改修まで幅広くあります。
工事の規模や素材の選び方で費用は変わりますが、「涼しさを家に備える」ことは毎年の夏を快適にする投資です。
介護や高齢の方がいるご家庭では、涼しさと動きやすさを両立させることが特に大切。

また、温熱環境を整えることは夏だけでなく、冬の暖かさや快適さにもつながります。
ミライエ建築工房は小さな工務店ですが、お客様の暮らしに合わせて、こうしたさまざまな住まいの工夫や改修にも柔軟に対応しています。

ぜひ、ご自宅の状況に合わせて検討してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

       

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